歯周病
歯周病はある種の感染症です
歯周病(いわゆる歯槽膿漏症)とは歯牙(歯)に付着したデンタルプラーク(歯垢:細菌の塊)によって引き起こされる炎症を伴う感染症の一種です。感染症とは細菌が体の中に入り込んであるいは表面に付着して引き起こす病気と考えてよろしいでしょう。
例えば肺結核は結核菌が肺の中に入り込んで増殖し、時に死に至る病気ですが、治療の対象は肺そのものではなく病気を引き起こした原因である細菌にあります。
抗生物質のような薬剤によってその細菌(結核菌)の数をある一定のレベルつまり生体が防御(免疫力)出来るまで減少させることによって健康で正常な体に戻るわけです。
結核菌が肺にいるからといって必ずしも発病するわけでもありません。保菌者を考えてみて下さい。結核菌と体と免疫関係のバランスが保てる状態であれば、必ずしも結核菌がいたとしても発病するわけではありません。
歯面に付着したデンタルプラークを一人の個人から採取して調べてみると約150種類の細菌が見つかります。最新の研究報告によると現在約500種の細菌が口腔内から見つかっています。虫歯の原因菌は既に同定されており、このデンタルプラーク中のミュータンス菌(S. mutans)という菌が歯面に付着して虫歯を引き起こします。
一方、歯と歯肉の間に貯まったプラークの中のある種の菌、(おそらく10数種類といわれていますが)によって引き起こす感染症が歯周病です。

歯周病の基本的な治療法
歯周病の治療は、進行時期によって主に3つの方法が選択されます。
1.スケーリング(主に初期の歯周病に有効)
初期の歯周病では、歯石の付着している部分が、歯茎の内部のごく浅い部分に付着しているため、超音波スケーラーや、ハンドスケーターなどを利用して、無麻酔で取り除きます。
2.スケーリング・ルートプレーニング(初期~中期の歯周病に有効)
スケーリングだけでは、取りきれないような歯茎の少し深い位置にある歯石を麻酔を使用してから取り除き、さらに歯石が付いていた根の表面を滑沢な面に仕上げます。
3.フラップ手術(中期~末期の歯周病に有効)
スケーリング、ルートプレニングでは、歯と歯茎の隙間に器具を挿入して、歯茎の中を、主に手探りで歯石などを取り除きますが、フラップ手術では、麻酔後に歯の周囲の歯茎を切開して、歯茎の奥の汚れを直視下で取り除きます。
再生療法
再生療法とは、失われた組織を再生させその機能を回復させる治療であり、歯科治療においては骨欠損を有する天然歯の保存のためには最も期待されている分野です。上記で挙げた代表的な3つの治療法でも改善が不可能な場合に再生療法を用いて歯周病を改善させます。
ここではその代表的なGTR法とエムドゲインについてご紹介します。
≪GTR法≫
GTR 法(guided tissue repair)は歯周外科後、メンブレンを挿入することにより歯周病の炎症により破壊されたセメント質などの硬組織を新生させ、喪失した付着の回復はかる歯科の治療法です。

≪エムドゲイン≫
エムドゲインは、スウェ-デンのビオラ社で開発された新しい歯周組織再生誘導材料です。エムドゲインの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、子どもの頃、歯が生えてくるときに重要な働きをするたん白質の一種です。歯周外科手術の際に、手術部位にエムドゲインを塗布することにより、歯の発生過程に似た環境を再現します。こうして、初めて歯が生えたときと同じような強固な付着機能をもつ歯周組織の再生を促すのです。
●手術の前に
歯周組織の状態を調べるために、歯周ポケットの深さを計ったり、レントゲンを取ったり、その他治療に必要な検査を行います。エムドゲインを使った治療が行えるかどうかは、歯周病の程度や患者さんの健康状態によっても異なります。
●歯周外科手術
手術は抜歯をするときのように麻酔をかけて行います。まず最初に治療する部分の歯肉を切開し、剥離します(図1~2)。次に歯根表面の清掃を行い(図3)、エムドゲインを塗布します(図4)。最後に切開した歯肉部分を縫合し(図5)、手術は終了です。手術にかかる時間は約1時間前後で、手術後、しばらく休んでいただいた後は帰宅できます。抜糸は手術日から2~6週間後に行います。

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